FX取引をしていると必ずといって良いほど損切りをする局面に出くわします。
これはFX取引を始めたばかりの初心者だからとか長年経験を積んだ専業トレーダーだからというわけではなく、どんなに腕を磨いても損切りとは付き合っていかなければなりません。
よく専業トレーダーの方は「上手に負ける」ことを重要視していらっしゃる方が多いように思います。
ここでは正しい損切り設定、初心者の方が損切りをできない理由を深く掘り下げたいと思います。
FXの取引ルール
まずFXにおいてどのような損切りのルールがあるか主に二つあるかと思います。
- 相場の状況関係なしにpips数で損切りを行う
- その時々で柔軟に損切りを行う
相場の状況関係なしにpips数で損切りを行う
まず一つ目、どんな相場の状況であろうと5pips逆に行ったら損切り、10pips逆に行ったら損切りという風にシステマティックに損切りを行う方法です。
このメリットは自分の感情を介入させないので損失の拡大を防ぐことができる点。
そして常に同じpips数で損切りを行うので収益イメージが掴みやすい点が挙げられます。収益イメージが掴みやすいとはどういう事か?それは後述致します。
デメリットは損切りしなくても良かったところで損切りを行ってしまう点です。
画像を用いて解説致します。下記画像をご覧下さい。
①の赤陽線に注目をしてください。そして黒水平線で売り(ショート)エントリー、損切りは5pips逆に行ったら如何なる理由があっても決済すると仮定をしてください。※この画像の場合は5pips上昇したら損切りということです。
①のローソク足を見るとショートエントリーをした後に価格は上昇していき最終的に移動平均線(青線)で止まって下落をしていきました。
そしてショートエントリーをした黒水平線と青色移動平均線の間のpips数は8pips、損切り幅は5pipsであったわけですから損切りされてしまったということになります。
これだけを聞けばpips数で損切りをしない方がいいんだろうな…という印象を持ちますが決してそうではありません。
次に進みます。
その時々で柔軟に損切りを行う
日本語には様々な感情を表す言葉がたくさんありますが、柔軟に対応をすると言えば聞こえはいいですが、それは単に曖昧なだけという場合も往々にしてあります。
柔軟と曖昧の違いって何でしょうか?色々なご意見があるかと思いますが、私が思う違いとは…。
それは私のFX記事で何度も何度も申し上げていますが根拠です。
含み損状態の時に損切りをするか、しばらく様子を見るか、それは根拠に基づいて判断すべきではないかと思います。
下記画像をご覧ください。
先ほどと同様に黒水平線で売り(ショートエントリー)をしたと仮定をしてください。
ここでショートエントリーをすること自体が間違っているというご意見は少し脇に置いて下さい。
ショートエントリーをしたものの価格は上昇。
ここで柔軟に対応する為には根拠が必要なわけですが、画像内のピンクの水平線。
①このピンクの線は何度も価格が止められており極めてここで上昇が止められる可能性が高い。
②何らかのインジケーターが価格の上昇が止まることを示唆している。
③リアルタイムの値動きをしても、買いがどんどん入ってきていない。
このように根拠の数や強い根拠、弱い根拠。更に価格が上昇していかない根拠、もしかすると価格がピンク線を突き抜けて上昇していく根拠などを判断して最終決定をしていくわけです。
ただ大前提として相場はどう動くか分からない。分からない中でやっているという事は心に留めて置く必要があります。
根拠の数がいくつ必要だとか、決まっているわけではなく非常に確度の高い根拠があるのであれば一つの根拠でも採用すべきです。
ですから強い根拠があれば、それは柔軟な対応であり、何となく上昇が止まりそうだとか損を確定させたくないというのは曖昧ではないかというのが私の考えです。
柔軟に損切り対応をするデメリット
この柔軟に損切り対応をするデメリット。それは一回の取引で大きな損失を被る可能性があること。
先ほど申し上げました収益イメージが掴みやすいと言うのは一回の取引における損失額がほぼ固定化されているので、ご自分の勝率と照らし合わせてお考えになれば収益の計算がしやすい点にあります。
例えば勝率が6勝4敗だとしましょう。
一回の平均収益額が2,000円、一回の損失額が1,000円未満とすると
6勝×2,000円=12,000円
4敗×-1,000円=-4,000円
合計=8,000円
このように計算が立ちやすいメリットがあります。
もちろん常に6勝4敗になるわけでもありませんし、必ず一回の勝ち取引で2,000円固定になるわけではありませんが負ける額を算出することで見えてくるものはあるということです。
柔軟な対応の場合はこの負けの金額がイメージしづらいのがデメリットです。ただあまり細かな数字を気にせず勝ってらっしゃるトレーダーの方もいますがどれくらい勝率があるか正確な相場分析ができるかでしょう。9勝1敗なら細かなことは気にしないでいいのかもしれません。
また勝率が重要であるならば当然負けの確率も重要となります。
ここから分かるのは勝つことは負けないことと同義であり、負け続けている方は損切りの幅を考えるよりも、まずはチャート分析をしっかり学びましょうということです。
人間の感情が損失を拡大させる
下記画像をご覧ください。
先ほど同様に①のローソク足の黒水平線から売り(ショートエントリー)をしました。
そして損切りはピンクの水平線をタッチしたら手動で損切り予定。
しかし下記画像のようにピンクの水平線を上抜けたにも関わらず、もしかすると青水平線で止まるかも?と思い始めるわけです。
このページでpips数で損切りをしない方がいいんだろうな…という印象を持ちますが決してそうではありませんと申し上げましたが、それがこの理由です。
当初設定したルールが守られずに都合の良い解釈を始めたり、淡い期待を抱くわけです。
これで損失を拡大させてしまう場合があるのです。
だからこういう裁量が介入してしまうご自分がいるなら、多少幅を広くしたpips数でストップ注文を入れておくなど工夫が必要になってきます。
ただ何度も言いますが根拠次第です。
ピンクの水平線では根拠をあるが、青水平線には根拠がない、あるいは根拠が乏しい。さらにピンクの水平線の根拠をそのまま青の水平線に都合よく移行させただけ。
これでは損失を拡大しかねません。
トレードというのは続けていくと何十回、何百回と行っていくわけですが上手く行った方法は今後も継続され、上手く行かなかった方法はいずれ損失を発生させ、このやり方ではダメなんだ。このやり方は危険なのだと学習します。
相場に絶対はありません。どんなに探究、努力をしても絶対が手に入ることはありません。
その中でやってるわけですから、時に間違うことは当然なのですがその一回の取引で大きな損失を被ってしまう損切りができない方がいらっしゃいます。
ではなぜ損切りができないのか?
それについては別ページで解説させていただきます。