長く生きていると挫折を経験したり、場合によってはあんなに楽しかった、自信に満ち溢れていたのにどうしてこんなに弱くなったのか?何が正解で何が不正解かよく分からない…。そんな状況に陥ることさえあります。そもそも自分探しとはどういう意味なのか?これは100人いれば100通りの意味があります。
本当の存在に出会う
自分探しの一つの意味として、本当の自分に出会う為の行動であると解釈されている方も多いかと思います。ただこの自分探しもあまり過度にやると逆効果であり、自分の心を見つめる行為は必ずしもプラスに働くとは限りません。あくまで現時点での自分ってどういう存在なのかを知る上では意味のある行動ですが、あくまで”現時点”である事を理解しておかなければなりません。
なぜ”現時点”を強調するかというと人は常に変化の中に生きているからであり、年齢よって自分は変わるからです。つまり10歳の時に自分を観るのと30代、40代で観るのとでは人生経験が違っているので、本当の自分という問いに対して答えが変わるのは必然です。
常に自分の心を覗いて迷いの中にいる方は、この常に変化の中にあるという事を理解しなければなりません。つまり固定された状態は存在しないということです。今日という日は二度と来ることはなく自分がじっとしていても時間は止めることができず年齢を重ねていきます。一見何も変わっていないようでも5年、10年経てば月日や歳を取ったことを感じますし、誰しも人生の最期は迎えます。
常に本当の自分は変化している
だからこそ何を言いたいかと言うと本当の自分という答えは常に変化するものということです。この先、人生の時間を消化していく中で逆境や苦難を乗り越えて成功するかもしれませんし、信頼してる人に裏切られるかもしれません。また大病を患って生死をさまようかもしれません。
己の哲学
ですから本当の自分は永遠に見つからないと言えばそうですし、自分自身でこれが本当の自分だと結論づけてしまえばそうなります。つまり仮に心を見つめてもこれは本当の自分じゃない!と結論づければ本当の自分ではありませんし、これが本当の自分だったんだ!と自分の哲学のようなものを確立して結論づければそうなるだけのお話です。
まず自分で心を見つめた時に見たい自分、見たくない自分に巡り会うかもしれません。本当の部分は頭の片隅では分かっていても、自分を傷つけたくないので違う解釈を用いたり、自分を擁護したりとフィルターを通じて自分を見つめるので人によっては客観的な視点で見つめていない場合もあります。
またここが重要なポイントです。
ご自身の心を覗いた時にどう感じて自己をどう評価するかは、その年齢はもちろん、状況によって変化します。
自分を探しても分からないのが当たり前
何もかも上手くいかない時に心を覗いても自分ってダメな人間だと思っていれば否定的な見解が導き出されるだけですし、何をやっても順調なら高い評価が導き出されるはずです。ですから自分に対して自信がなく、何をするにも臆病になっている時に自分探しをしても自分が余計に分からなくなりますし、分かっていても認めたくない自分もいたり、違う解釈にしたい自分に出くわすことは多いです。
ですから現時点を強調したのはこういう意味があるからです。また他の自分探しとしては今までの人生を振り返り過去を総括するという意味での自分探しも有益かもしれません。過去を総括し、それを今後に活かす事は違う視点や進む道を見出すことにはなりますが、自分探しや自分探しの旅をする上で留意しておくべき点があります。
まず人は多面的な生き物です。仮に今は30代、学業に励み、仕事も頑張り、恋も人並みにしてきた…。仕事や恋愛、学業と様々なカテゴリがある中で、人並み以上の結果を残してきた分野もあれば失敗や挫折を経験した分野もあるでしょう。
それを見つめて、どのような答えを返すつもりか?白か黒か?自分を褒めたいのか、反省させたいのか?長所を伸ばす視点、短所を矯正する視点…。
自分の心の覗き方こそが正に自分の一つの部分であって、何もかも上手く叶った過去なのか、失敗続きの過去なのか?同じ道を辿ってきた二人であっても視点によって評価や要点は全く変わります。
もっと言うとその評価や見方次第で仕事に悩んでいる方は転職を決断したり、恋愛をしている方は別れようと決断したり、こう進もう、ああいう風に進もうと進路や立てる目標が全く変わってきます。ですから何の為にやるのかもそうですし、様々な視点を持ち、きちんと明確にする事が大切です。
20代の自分自身
20代は学生生活も終わり、社会人として仕事に励んでおられる方が多いかもしれません。最近は20代で正しいのか間違っているのか答えを出す方が多いように思いますが、早い段階から答えを出すと、人としての経験が浅く、細くなってしまうので、もし予想外の事が起こった時にリカバリーをする力が養えません。
予期せぬことは必ず起こりますし、一度も転んだ事なく歩んでいると一度転んだ時のダメージは大きいものです。どちらが強い人かと言えば一度も転んだことのない方ではなく、転んでも再び歩み出せる人です。強くなる為の課程には必ず転ぶという課程を通らなければなりません。
ですから自分探しをする際も、きちんと伸びしろという余剰スペースを残した上で見つめてください。
30代や40代の自分
30代、40代というと社会的にもある程度の地位が与えられたり、結婚願望のある方でしたら結婚を意識する年代です。また少しは社会人として脂が乗った状態で仕事以外のプライベートに重きを置いたり考えたりする年代でもある一方、この年代くらいになるとキャリア次第ではありますが、容易に転職を決断できなかったり、その後の先も固定化されていきます。
だからこそ、この年代の方は自分探し、自己を見つめる方が多く、仮に人生80年とした場合は40歳は折り返し地点ですから、じっくりと自分を見つめようとなるのでしょう。また40歳くらいになると、ある程度ご自分の人生の傾向も見つかりますし、自分の得意分野、不得意分野、強い点弱い点もある程度見えてきます。
その上でどうしたいか?どうあるべきか?を考えるわけですが、どうしても責任や義務はついてまわるものですが、滅多にないこの機会は童心に帰り、義務や責任を脇に置いておくのも良いでしょう。また過去から自分を見つめる場合もあれば、未来のこうありたいという理想像から逆算してご自分を見つめるのも有効な手段です。
やはりたった一度の人生、これを噛みしめれば時間の大切さも知り、何をしたいのか?何をやっておきたいのか?経済的な自由も少しは得られる年代ですので思い切り枠や縛りを外してお考えになって下さい。
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