ピアノ修復家
ピアノはとても複雑な構造をしており、温度や湿度の影響で音程が狂ってしまうほどデリケートでピアノ所有者自身が音程の調節を行うことは困難である為、ピアノを知り尽くした専門家であるピアノ調律師が調整を行います。工房で修理を手がけたり、メーカーで設計・製作に携わる人もいることからピアノ技術者やピアノ製造技師とも呼ばれます。 また古いピアノをオーバーホールによって復元させることなどからピアノ修復家と呼ばれることもあります。
大学・学歴
ピアノ調律師になる為のルートとしては音楽大学の調律科が挙げられます。ただ多くは別科ですので調律科の課程を修了したからといって音大卒にはなりません。また例え調律師であっても受験の際には演奏などの試験科目があるので一定のレベルを求められます。
ただ調律師を目指す場合は専門学校のピアノ調律科に進むのが一般的です。どういった事が学べるかと言いますとピアノの知識、理論、メカニズムから始まり調律の実技、整調、整音、塗装、修理、消音機などです。消音機を学ぶというのはアコースティックピアノに消音装置を取り付けて、サイレントピアノにする講習などです。
必須の資格
ピアノ調律師として働く為には厳密に言えば資格は必要ありません。ただ実際には国家検定であるピアノ調律技能士の3級を保有している場合がほとんどです。国家資格と国家検定は似ていますが異なります。その違いについては下記をご参照下さいませ。
国家資格と国家検定の違いは?技能検定とは?
ピアノ調律技能士
ピアノ調律技能士検定は技能検定制度の一種で一般社団法人日本ピアノ調律師協会が実施しており、ピアノ調律師としてのレベルを証明する検定で学科試験と実技試験を行います。1級技能検定の合格者に対しては厚生労働大臣名からの合格証書、2級及び3級の技能検定の合格者に対しては日本ピアノ調律師協会会長名の合格証書が交付されます。
合格証書を交付された方は、1級ピアノ調律技能士や2級、3級ピアノ調律技能士と称することが出来、名刺・ホームページ等への記載が可能となります。
認定レベル
それぞれの試験と程度は次のとおりです。
- 1級… GP,UPの調律ができること
- 2級… UPの調律とGPの一部の調律ができること
- 3級… UPの基本的な調律ができること
※ここでいう調律は狭義の調律、整調、修理を意味します
受験資格
- 1級学科試験の受験資格
7年以上の実務経験、又はピアノ調律に関する各種養成機関・学校を卒業・修了後5年以上の実務経験を有する者
- 2級学科試験の受験資格
2年以上の実務経験、又はピアノ調律に関する各種養成機関・学校を卒業・修了後1年以上の実務経験を有する者
- 3級学科試験の受験資格
1年以上の実務経験を有する、又はピアノ調律に関する各種養成機関・学校を卒業・修了した者
※受験資格さえ満たしていれば、どの級からでも受験可能です。例えば3級に合格していなくても1級の受験資格を持っている場合は、いきなり1級受験など。
受験料
- 学科試験
8,500円(どの級でも同額)
- 実技試験
1級・・・29,500円
2級・・・26,500円
3級・・・23,500円
試験地
- 3級… 北海道、宮城県、東京都、静岡県、愛知県、大阪府、広島県、福岡県
- 1級・2級… 北海道、宮城県、新潟県、東京都、静岡県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県
試験内容(学科試験)
- 学科試験
- 音楽一般
- ピアノ概論
- ピアノ調律
- ピアノ整調
- ピアノ修理
- ハイブリッドピアノのメンテナンス
学科試験の科目はどの級でも同じですが出題される問題は範囲等は各級で異なります。
- 3級実技試験(実技試験)
- アップライトピアノ調律
- アップライトピアノアクションモデル整調
- アップライトピアノバットスプリングコード゙交換
- 2級実技試験
- アップライトピアノ調律
- グランドピアノアクションモデル整調
- アップライトピアノ整調
- 修理:張弦(玉造りを含む)
- 修理:アップライトピアノセンターピン交換(木部合わせ)
- 修理:アップライトピアノバットスプリングとコード交換
- 1級実技試験
- アップライトピアノ調律
- グランドピアノ調律
- グランドピアノ整調
- アップライトピアノ整調
- 修理:グランドピアノ張弦(玉造りを含む)
- 修理:GPハンマーシャンクフレンジセンターピン交換
- 修理:GPダンパーワイヤー交換
合格率・難易度
- 学科試験
- 1級… 受検者数:213人・合格者数:153人
- 2級… 受検者数:99人・合格者数:86人
- 3級… 受検者数:126人・合格者数:113
- 実技試験
- 1級… 受検者数:280人・合格者数:94人
- 2級… 受検者数:133人・合格者数:54人
- 3級… 受検者数:151人・合格者数:55人
仕事内容
音程や音色、ピアノのつくりや機能、理論などを熟知している調律師は、ピアノの医者でありメカニックといえるでしょう。調律師になるためには調律の専門学校か養成所をある一定以上の成績で卒業することが一般的です。一般家庭や音楽教室、音楽ホールなどピアノが設置されている部屋での出張作業が多く、また同時に工房や工場などで修理や修復作業も少なくありません。
防音室や消音装置、温度や湿度の管理について、ピアノの使用者の相談を受けたりアドバイスも求められます。名ピアニストを担当する調律師は正確な調律だけではなく、演奏者の希望を把握した上でそれに沿った音色に仕上げていける技能と、演奏者や聴衆に心地よい音楽を届けたい、と思いやる気持ちも必要です。
チューニングハンマーで弦を締めたりゆるめたりしながら、一音ずつすべての弦を調律していきます。チューニングフォーク(音叉)の音にぴったり合わせたり和音をつくったりしながら、耳を頼りに作業を進めるのです。他にも楽器を弾きやすく、よくそろった状態に仕上げる「整調」やイメージどおりの微妙な音色を作り出す「整音」という作業も行います。
またピアノ調律師として生計を立てるのは極めて困難で楽器店、メーカーに勤務して、そこから収入を得ている場合もあれば、自身で楽器店を営み、楽器の販売等の収入と調律師との収入で生活をされている方もいらっしゃいます。
平均的な年収・収入は?
ピアノ調律師の給料や年収ですが、実際に求人を掲載させていただきます。なお求人は全て東京都内のものです。
- 企業:ピアノの中古販売・買取企業
- 試験:調律実技試験(アップライトピアノ)
- 業務:ピアノ調律・修理・販売
- 月給:20万円~
- 企業:調律学校
- 試験:実技試験有りだが詳細について記載なし
- 業務:ピアノ調律
- 月給:19.5万円~
- 備考:調律学校卒業必須
- 企業:楽器店
- 試験:試験について記載なし
- 業務:ピアノ調律
- 月給:19.0万円~
- 備考:調律学校卒業必須
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