
さて今回は親権争いが一向に解決しない…となった場合は離婚調停になるわけですが、調停になった際にどう有利に進めていけば自分に親権が得られるのか?また親権者の決定はどういうところを重要視されるのか?その辺について深く掘り下げたいと思います。
まず以前も触れましたが離婚調停をするにあたり必要な費用は約3000円です。
・戸籍謄本の申請代が450円(自治体によって異なります)
・収入印紙1200円
・郵便のやりとりをするための切手代(約800円)です。
もっと費用や手続きについて詳しくお知りになりたい方は下記をご覧下さいませ。
離婚調停を始める手続きや費用金額
親権を手放したくない
何らかの事情で離婚は決意していても、子供のこととなると親権はどうしても手放したくない、そう思うのが親心です。結婚した相手とのつながりは断ちたくても、子供とは血を分けた関係。絶対に手放したくないと感じるのは当たり前です。
結婚した夫婦に子供ができた場合、子供の親権は両親が持ちます。しかし離婚となるとそういう訳にはいかなくなります。未成年の子供をどちらが引き取るのか決めなければなりません。
子供の親権の決定
ここからは親権争いの進め方、親権を勝ち取るためのポイントなどについてお話していきます。
親権をどちらが取るかまず夫婦で話し合う
離婚を考えている夫婦に未成年の子供がいる場合、離婚届を提出する前にどちらが親権を持つかを決めなければなりません。離婚届にはどちらが親権を持つかに関して記入するスペースがあります。そこが未記入だと離婚届を受理してもらえません。
親権をどちらが取るかに関して夫婦双方の合意が得られれば、調停にも裁判にもならず離婚届を出せば手続きは完了となります。
しかし夫婦が二人とも親権を持ちたいと主張している場合、話し合いは長引いてしまいます。いくら話し合っても折り合いがつかないなら、離婚調停を申し立てて調停委員を交えて話し合うことになります。
離婚調停で決着
離婚調停の場では、良識のある調停委員が夫婦の間に入り話し合いを進めてくれます。まずは申し立てた側が調停委員と話をし、親権についての自分の気持ちを説明します。話が終わったら調停室を出て待合室で待ちます。
次いで相手方が調停室に入り調停委員と話をします。これを交互に数回行い、調停委員が第三者としての意見を言ったり説得したりして話し合いが進められます。
調停では第三者が関わる上、夫婦が顔を合わせることがないため、感情的にならずに話し合いを進めることができます。もしも相手に子供を育てる能力がないと判断される場合、それを第三者が分析して指摘してくれるため相手を納得させやすくもなります。
離婚裁判へ移行
調停を繰り返しても、結局どちらが親権を持つかに関して双方の意見が一致しない場合、「調停不成立」となり、次の段階は審判での争いとなります。
よくネットの情報では調停と審判を同じものと扱ったり、調停不成立となった場合は改めて訴訟手続きをしなければならないといったものがありますが、「調停不成立」となった場合は自動的に「審判」に移行しますのでお間違いないようご注意下さい。
なお、審判に発展した場合、夫婦それぞれがいくら親権を獲得したいと思っていたとしても、どちらが親権を手にできるかは家庭裁判所の判断になります。ただ審判まで進むケースはほぼ皆無と言っていいくらいで調停で話は済むことが多いです。
なぜかと言いますと審判まで発展すると手続きもそうですし何度も裁判所に通わない、長期化する…ということがある為です。
では調停や審判において親権がどちらに与えられるかを決定する際、判断材料になるのは何なのかということです。それさえ知っておけば前もって対処も可能かもしれません。何とかして親権を手に入れるためにも、調停、審判の前に基礎知識を取り入れて、準備を万全にしておきたいものです。
以下、親権がどちらに付与されるのかの、決め手になるポイントについて挙げていきます。
親権獲得に有利になるポイント
まず大前提として子供が小さい場合には、必然的に母親の存在が大切になってくるため、親権は母親の方が握りやすくなります。
もちろんケースによっては父親が親権を勝ち取るケースもあります。
さて調停や審判で親権を獲得する為のポイントとしてはどちらの親の主張が正確かとか筋が通っているかなどではなく、どちらの親が親権を持つと子供がより健全に成長できるかということです。健全な成長には精神面と身体面両方の成長が関わってきます。調停委員が注目する具体的なポイントは以下になります。
≪これまでどちらの親が子供の面倒をみていたか≫
別居期間があった夫婦の場合、別居期間中夫婦のうちのどちらが子供の世話をしていたかがポイントになります。子供にとって環境が大きく変わるのは精神的に負担になるため、これまで面倒を看ていた親が引き続き子供と一緒に暮らすことが最善と思える場合、優先的に親権が与えられます。
≪子供の意見≫
子供がすでに15歳以上になっている場合、子供の意見が尊重されることもあります。とはいっても、親のどちらかに言わされている可能性もあるため、裁判官は子供とよく話し合い、慎重に検討します。
≪子供の年齢≫
子供が乳幼児である場合、特に母親の存在は大きな意味を持ちます。例えば、母乳を上げられるのは母親だけだからです。そんなわけで、子供がごく小さい場合には母親の方が親権を持ちやすくなります。とはいっても、最近では一昔前と比べて、母親の方が優先的に親権が取れるという考え方は薄れてきているとも言われています。
≪経済力や養育環境≫
子供を育てるためにはそれなりの費用が必要です。ですから、子供の幸せのために裁判官は親の経済力を考慮に入れます。子供が生活する環境が理想的かどうかも調査します。
≪看護能力≫
看護能力とは、世話やしつけ、教育を行う能力のことです。看護能力があるかどうかに関しては、援助者がいるかどうかも関係してきます。離婚後は片親家庭になるわけですから、親が仕事に行っている間、もしも子供に何かあった場合、駆けつけてあげられる大人が身近にいるかどうかもポイントになってきます。
ちなみに、有責者(不貞行為など、離婚の原因を作った側)は親権を獲得するうえで不利になるなどということはありません。
あくまでどちらの親に親権を与えることが子供を健全に育てられるかという点です。
ここまでいくつかポイントを挙げてきましたが調停での話し合いはあくまで一般的ですが3回ほど行いますが子供の数や環境によっては長引く場合もあります。
調停不成立で審判移行
また調停不成立となった場合は審判に移行すると前述しましたが審判に移行した場合でも上記で挙げたようなところがポイントとなり、どちらに親権を与えられるか決定されます。
審判になった場合は家庭裁判所に出向き、これもケースによって異なりますが裁判官との話し合い、場合によってはお子さんが家庭裁判所に行って話し合いをする必要もあったり、また家庭裁判所の調査官による家庭訪問等などがあったりします。
この家庭裁判所の調査官による家庭訪問等は審判に移行する前に段階、つまり調停を段階で行われることもあります。
しかしあくまでケースによって異なりますのでここで一概に申し上げることはできません。
いずれにせよ親権争いで最も被害を被るのはお子さんであることを忘れてはなりません。