
離婚調停の申立書を必要書類とともに裁判所に郵送したあと、離婚調停はいったいどのように進められていくのでしょうか。離婚調停は人生にそう何度も遭遇するものではありません。初めてのことは分からないことが多く、精神的にも負担になるものです。前もってシュミレーションておけば、落ち着いて調停にのぞむことができるでしょう。
呼出状が届く
離婚調停申立書を裁判所に郵送し、それが受理されると約2~4週間で夫婦双方の住宅に呼出状が届きます。調停申立てをされた側は、この通知をもって初めて正式に申立てられたことを知ります。
調停申立てをされた側には離婚調停申立書の写しも同時に送付されます。ですから、調停申立書の記入時には相手方にも見られるということを意識して、注意しながら記入したいものです。申立書にあれこれ相手の文句を書き連ねてしまうと、そのことが原因で余計にこじれてしまい、離婚成立に不利になってしまうことがあるからです。
呼出状には、離婚調停が行われる期日と時間が記されています。
裁判所の混み具合にもよりますが、調停の期日は一般的に申し立てから1カ月~1カ月半ごろに指定されます。申し立てられた側がもしもその日都合が悪いのであれば、「期日変更申請書」を裁判所に提出することで期日を変更することができます。
相手側が出頭を拒否し、弁護人を代理人として調停が薦められることもありますが、それでも調停第1回目は本人の出頭が義務付けられています。もしも連絡もせず出頭しないのであれば、罰金として5万円が科せられます。
一回目の離婚調停や場所
離婚調停は家庭裁判所の本庁・支部・出張所で行われます。
調停当日は、指定の裁判所に前もって到着し、受付を済ませましょう。15分前が目安です。もう少し早めに着けるなら、環境に慣れる時間がとれるので落ち着いて調停にのぞめ、なお良いでしょう。待合室で相手方と顔を合わせたくないのであれば、裁判所に前もって伝えておくといいでしょう。到着時間を指定したり、待つ場所を指定したりなどして、互いに顔を合わせることがないように配慮を払ってもらえます。
受付を済ませると、調停用の待合室に案内されます。調停用の待合室は「申立人待合室」と「相手方待合室」に分けられており、夫婦はそれぞれの部屋で別々に待機します。夫婦が顔を合わすことは決してありませんので。
待合室などの部屋へ案内されるときにはプライバシーのことを考え、名前ではなく番号で呼ばれるので聞き逃さないように注意しましょう。聞き逃していないか不安になってしまったなら、受付で確認することができます。
調停委員との話し合い
調停が開始したなら、まずは調停を申し立てた側が調停室に呼ばれます。弁護士を依頼されている場合は弁護士も一緒に部屋に入ります。
調停室には調停委員(男女1名ずつ)が待機しており、手始めに調停の仕組みについての説明があります。離婚調停における調停委員の数は男性が1人と女性が1人の合計2人と決められています。
その後、申立人は調停委員に対して、自分の状況や気持ち、解決しなければならない問題(慰謝料や子どもの養育費、財産分与など)について、またそのことに対する要望などについて話します。
話すタイミングや順序などは調停委員が誘導してくれるので、たいていは質問に答える形で話していけば問題ありません。そしてご自分の話すことが終了すると待合室で待機し、続いて相手方が調停室に呼ばれ、調停委員に対して話をします。
自分の言い分や希望について気持ちを話します。話がひと段落したら相手方も待合室に戻り、今度は再び申立人が呼ばれます。
こうして夫婦は一人ずつ調停室に入り、調停委員と話をします。
話し合いの長さは1回につき30分ほどで、それぞれが2回ずつ順番に調停室に入るので、全体の長さは2時間ほどとなります。しかしこれはあくまでも目安で、話し合いの内容によっては30分を超す場合もありますし、それによって全体の時間ももっと伸びることもあります。
相手方が調停室に入っている間は、待合室で待機、次に自分、次に相手…という風に繰り返されていきます。
待機時間はおおよそ1回につき30~40分ほど待っていることになります。この時間は調停室で話したことを頭の中でまとめたり、言い忘れたことをメモしたりなどして過ごしましょう。またリラクゼーションミュージックを聞くなど気持ちを楽にできるように工夫するとよいでしょう。
調停委員ってどんな人?
ここで調停委員について少し触れておきますが離婚調停の際の調停委員とはどういう人なのでしょうか?
日本調停協会連合会のデータによりますと、主に40歳以上の一般市民から選ばれた弁護士、各種専門家や社会で幅広く活躍した有識者が調停委員として選任されるとのこと。
必ずしも弁護士のような法律の専門家とは限らず、教員、地元の民生委員などの場合もあるようです。また調停委員で最も多いのが60代、次いで50代ということです。
調停委員の中には法律家ではない方もいらっしゃるので、やはり個人的な主観が介入する余地があるかと思いますので調停委員に話す際には上手く有利に運ぶ伝え方や分かりやすさが大切になってくるでしょう。
調停の結果
調停の結果はまちまちです。申立人の希望が通り、相手側が離婚に同意すれば離婚が成立します。
逆に、第三者を交えた話し合いの結果、申立人の気持ちが変わり離婚の意思を取り消すという結果もあり得ます。
さらには、調停の場に至っても折り合いがつかず、結局結果が出なかったというケースもあります。その場合、離婚調停は決着が付くまで何度も開かれます。調停委員が、らちが明かないと判断した場合、「調停不成立」となり、次の段階として離婚裁判へと進みます。
調停の回数
調停を設ける回数はケースによってまちまちです。回数に開きが出てくるのは親権や養育費、慰謝料、年金分割など話し合って決めなければならない点が多いほど長引きます。早い場合ですと1回で成立することもあり、場合によってはなかなか双方の合意が得られず、6回、7回、…10回、またはそれ以上開かれることもあります。
どの段階で「調停不成立」となるかは調停委員の判断次第です。調停の回数を重ねれば何とか合意が得られるのではないか…、と思われる場合、何回でも調停を開くことになるかもしれません。
または調停を5、6回しか設けていなくても、これはいくら話し合っても無理だと思われる要素があれば早々と「調停不成立」となります。
また相手方に「離婚をしたくない」という強い意志がある場合、離婚は成立しにくのが実情で、財産分与や養育費などが絡んでくる場合も話が複雑になってしまい成立しにくくなります。
期間はどのくらい?
離婚調停は1回で済めば、申立てをした日から数えて1カ月程度で終了します。しかし2回、3回と調停を設ける場合にはもっと長くなります。
離婚調停を行ってから次回までの期間は1カ月以上空いてしまいます。ですから、離婚調停を6回行った場合、最短でも半年はかかってしまうという計算になります。さらには、調停で込み合っている裁判所の場合、次回の調停までの期間はもっと長くなることでしょう。
調停離婚が成立するまでの期間の長さは一般的に半年から1年弱と言われています。
その後、裁判に発展した場合にはさらに1年くらいかかってしまいます。
離婚自体精神的に大きなストレスとなるのに、忘れたい相手とのかかわりをなかなか断つことができないのは辛いことでしょう。できることなら離婚調停や裁判に発展させず、話し合いで解決できるのが最も理想の方法です。
また離婚調停の段階で離婚が成立するのはどれくらいの割合かと言いますと、 裁判所の統計では調停申し立てから4~5ヶ月で約半数の人が離婚に至り、約半数が離婚できずに終わっているようです。
離婚が成立した後の手続き
調停離婚が成立した場合、法律上では離婚が成立していますが、その後しなければならない手続きがあります。
調停離婚の成立から10日以内に、役所に離婚届を提出しなければならないのです。
離婚届を提出するのは調停条項によります。調停条項が「申立人と相手方は、本日、調停離婚する」である場合には、申立人に届け出義務があります。調停条項が「申立人と相手方は、相手方の申し出により、本日、調停離婚する」である場合には、相手方が届け出をします。
届け出をする役所は、届出人が住んでいる住所の役所か、本籍地の役所になります。期限までに届けば郵送でも可能ですが、記入ミスなどがあった場合のことを考えると印鑑を持参し、実際に役所に出向いて届け出をした方が間違いがないでしょう。