どんな仕事?
法務省専門職員(人間科学)は、犯罪をした人や非行のある少年に対して更生・復帰させることを使命とします。少年の身柄を保護して、審判を安心して受けることができるように精神の安定を図りながら指導や観察保護業務を行います。本来は法務教官と呼ばれており、これは法務省所属の職員(国家公務員)の官職名です。
それぞれの職務内容
【矯正心理専門職】
- 少年鑑別所に勤務の場合
家庭裁判所から送致された少年について、面接や検査を行い非行原因、今後の処遇方針を明らかにするという鑑別に従事します。
また保護者や学校関係者からの交友、しつけの問題等に関する心理相談にも応じます。
- 刑事施設に勤務の場合
面接や検査を行い受刑者の資質を調査し更生や改善指導の実施等の業務に従事します。またカウンセリング等も実施。
【法務教官】
- 少年院に勤務の場合
収容されている少年に対し、健全な心を育ませ、生活指導、職業指導、教科指導を行うほか、社会復帰につなげるための支援等に従事します。
- 少年鑑別所に勤務の場合
主に家庭裁判所から送致された少年について、身柄を保護し、面接や行動観察等を実施するほか、相談助言の業務等に従事。
- 刑事施設に勤務の場合
受刑者の改善更生の意欲を喚起し、社会生活に適応する能力の育成を図るための改善指導及び教科指導に従事します。
【保護観察官】
- 地方更生保護委員会に勤務の場合
刑事施設からの仮釈放や少年院からの仮退院に関する審理のために必要な調査等に関する事務に従事。
- 保護観察所に勤務の場合
家庭裁判所で保護観察処分を受けた少年や仮釈放者等を対象とする保護観察、矯正施設被収容者の出所後の生活環境の調整等の業務に従事。
受験資格
次のいずれかに該当する者(Aは男子、Bは女子)
【矯正心理専門職A・B】
①21歳以上30歳未満
②21歳未満で、大学を卒業した者および翌年3月までに卒業見込みの者
③人事院が②と同等の資格があると認める者
【法務教官A・B】【保護観察官】
①21歳以上30歳未満
②21歳未満で、大学を卒業した者および翌年3月までに卒業見込みの者
ならびに人事院がこねらと同等の資格があると認める者
③21歳未満で、短大または高等専門学校を卒業した者および翌年3月までに卒業見込みの者
ならびに人事院がこねらと同等の資格があると認める者
【法務教官(社会人)A・B】
①30歳以上40歳未満
試験日
【1次】6月中旬【2次】7月中旬
試験内容
≪矯正心理専門職A・B≫
■ 1次
①基礎能力試験(多肢選択式)i40題、2時間20分
②専門試験(多肢選択式):40題、2時間20分
(必須問題):心理学に関する領域
(選択問題):心理学、教育学、福祉、社会学に関する基礎
③専門試験(記述式):1題、1時間45分。心理学に関する領域
■ 2次
①人物試験:人柄、対人的能力などについての個別面接
②身体検査:主として胸部疾患(胸部エックス線撮影を含む)、血圧、尿、眼、聴器、その他一般内科系検査
③身体測定:視力についての測定
≪法務教官A・B≫
■ 1次
①矯正心理専門職に同じ
②専門試験(多肢選択式):40題、2時間20分
☆心理学、教育学、福祉、社会学に関する基礎
③専門試験(記述式):1題、1時間45分
☆心理学、教育学、福祉、社会学に関する領域から選択
■ 2次
①~③矯正心理専門職に同じ
≪保護観察官≫
■ 1次
①~③法務教官に同じ
■ 2次
①矯正心理専門職に同じ
合格率・難易度
矯正心理専門職A(男性)… 25.3%
矯正心理専門職B(女性)… 12.3%
法務教官A(男性)… 16.0%
法務教官B(女性)… 22.0%
法務教官A(社会人・男性)… 12.1%
法務教官B(社会人・女性)… 11.3%
保護監察官 … 19.4%
※平成27年度の合格率
採用試験の服装は?
試験の際の服装はほとんどの方がスーツ(クールビズ)着用。もちろん試験時期に関わらずですが身体検査もありますので、肌着などもよく考えて選びましょう。
資格取得後は?
法務省専門職員は、保護観察所に勤務する保護監察官、少年鑑別所などに勤務する矯正心理専門職、少年院などに勤務する法務教官と区分が3つにわかれています。いずれも犯罪をした人や非行のある少年が更生して自立し、社会復帰できるように地域の力を活かしながら指導や監督を行います。試験に合格すると、法務省に属する国家公務員として保護観察官は、地方更生保護委員会や全国各地にある保護観察所に勤務します。矯正心理専門と法務教官は、管轄地区内の少年院、少年鑑別所、刑事施設が勤務地です。
平均年収や給料
法務省専門職員(法務教官)は国家公務員法の公安職という位置づけで公安職俸給表で決められています。刑務官以外の公安職は法務教官、海上保安官、皇宮護衛官、入国警備官、公安調査官、検察事務官など。地方公務員には警察官や消防吏員があり、公安職とは簡単に言うと治安をつかさどる公務員の職の区分です。
この公安職の40歳の給料は580万〜650万程度です。公務員といっても全職員が同じ給料ではなく昇進や昇給によって年収額は個々に異なります。また福利厚生は国家公務員等共済組合に加入することとなり組合員として病気、負傷、出産等に関連した各種の給付を受けることができます。退職、高度障害、死亡した場合には共済年金制度の適用を受けることができます。
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