司法試験
超難関資格である司法試験は、裁判官、検察官、弁護士になるための学識や応用能力が備わっているかを判断するための試験です。平成18年から現在の新司法試験が新たに取り入れられて、平成23年までは旧司法試験と新司法試験が並行で実施されていました。旧司法試験では学歴や受験回数の制限がありませんでしたが、あらたに司法試験予備試験が実施され、法科大学院課程の修了者もしくはそれに同等の学識を持つものと判定できる司法試験予備試験に合格した人に受験資格があります。
受験資格
- ①受験時において法科大学院の課程を修了している者
- ②司法試験予備試験に合格した者
※法科大学院課程の修了日、または予備試験合格発表の日後の4月1日から5年間の期間に3回の範囲内で受験することができる
試験日
受験料
試験地
試験内容
- 短答式
裁判官、検察官、または弁護士になろうとする者に必要な専門的な法律知識および法的な推論の能力の判定
①公法系科目
憲法、行政法に関する分野の科目
②民事系科目
民法、商法、民事訴訟法に関する分野の科目
③刑事系科目
刑法、刑事訴訟法に関する分野の科目
- 論文式
※短答式筆記試験合格者のみ
【必須科目】
裁判官、検察官、または弁護士になろうとする者に必要な専門的な学識、法的な分析、構成および論述の能力の判定
①~③ と同じ
④8科目から1科目を選択する(倒産法・租税法・経済法・知的財産法・労働法・環境法・国際関係法(公法系)・国際関係法(私法系)
合格率・難易度・平均受験回数
- 2015年司法試験受験状況(予備試験合格者)
- 受験者数:301人
- 短答合格者数:294人
- 最終合格者:186人
引用:法務省
- 合格者数上位10位の法科大学院
- 1位「予備試験合格者」61.8%
- 2位「一橋大法科大学院」55.6%
- 3位「京都大法科大学院」53.3%
- 4位「東京大法科大学院」48.9%
- 5位「神戸大法科大学院」48.3%
- 6位「慶應義塾大法科大学院」45.5%
- 7位「愛知大法科大学院」36.4%
- 8位「中央大法科大学院」35.8%
- 9位「早稲田大法科大学院」30.8%
- 10位「大阪大法科大学院」29.1%
独学は無理?
司法予備試験の合格率はやや上昇傾向にありますが、それでも4%程度。やはり司法という国家の秩序を守る為の専門家を養成する試験ですから簡単に合格できるものではありません。特に論文式試験は独学では非常に対策が困難であると言われています。
それだけでなく旧司法試験であればなんとか独学でも可能であったようですが範囲も難易度も旧司法試験以上の難関試験となっているので独学は現実的ではありません。
また誤解されている方が多いようですが法科大学院(ロースクール)を卒業してから司法試験に臨む方が多いと、いかにも法科大学院は司法試験を受ける為の専門学校のような印象を与えるサイトが散見されますが法科大学院を卒業しないと司法試験は受けられませんのでご注意下さい。
資格を取った後は?
超難関資格である上に受験回数の制限も設けられ、5年間に3回の範囲内でしか受験できません。司法試験予備試験は高等学校卒業程度認定試験(旧大検)のシステムに似た制度になっており、試験に合格することで法科大学院を卒業したレベルとみなされ司法試験を受験することができます。
司法試験を受験したいけれど既に社会人として働いている場合や、法科大学院に行くための費用や時間がない場合に利用できる試験です。受験資格の基準も高いため、合格すれば裁判官・検察官になることができますし、民間では弁護士として活躍することもできます。そのため主な就職先としてあげられるのは法律事務所、そして企業内弁護士としての採用に積極的な金融機関、商社、不動産関連会社、IT企業などです。弁護士としての主な仕事は訴訟や相談業務です。司法試験に合格すると司法修習生として1年間修習を実施します。
そのため弁護士事務所や一般企業への就職を希望する場合は就職活動と修習を両立して行う必要があります。裁判官や検察官を志望する場合は、修習そのものが就職活動になるため力をいれて取り組むことができます。裁判官は最高裁判所に判事補として採用されたのち、10年実務経験を積んで裁判官としての任命を受けます。
訴訟事件の審査、判決などが裁判官の仕事です。検察官も法務省の面接があって、区や地方の検察庁での勤務からスタートします。検察官は刑事事件の捜査や調査を行い、起訴か不起訴かを判断します。裁判官、検察官、弁護士は法曹三者と呼ばれており、どれも司法試験に合格しなれければなれません。司法試験に合格することは容易なことではありませんが、将来性を高く見込める資格と言えます。
平均年収や給料
裁判官の場合は、判事補の初任給は検察官と同じく約23万円で手当てや賞与が加算されます。裁判官になると年収は500万円~1,000万円、昇級して最高裁判所長官になれれば年収4,000万円は見込めます。
検察官(検事)の場合は、初任給である約23万円に手当てや賞与が加算されます。昇級して検事総長になれば年収3,000万円は見込めます。弁護士の場合は年収850万円~1,000万円前後が平均ですが、内容や経験にもよっては200万円~300万円の人もいます。
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