
夫婦間で離婚の話し合いが合意に至らない場合は
離婚調停を行う場合がありますが、その際に弁護士に依頼するべきかどうか?
ここでは弁護士に依頼する際にメリット、デメリットについて解説させていただきます。
裁判ならともかくとして、離婚調停なら弁護士をつけないで済ませるケースが多いようです。近年行われた調査によれば、夫婦双方とも弁護士をつけないで離婚調停が行われたケースが6割を超えており、半数以上が弁護士なしで調停を済ませているようです。
離婚調停とはそもそも、調停委員を交えて夫婦が話し合う場です。
そこに弁護士は必要なのでしょうか?これはケースによります。場合によっては弁護士に依頼するのが賢明であると言えるでしょう。
デメリット
離婚調停を弁護士に依頼するデメリットとしてまず挙げられるのは「費用がかかること」でしょう。
まず相談料として1時間1万円が目安。
依頼時には着手金として40万円前後かかり、調停が終わると報酬金としてさらに40万円程度かかるのが一般的です。すべて合わせると総額70万~100万円は必要になってきます。それぞれのご夫婦の収入にもよりますが決して小さな金額とは言えません。
ただ収入が多かったり資産規模が大きいご夫婦は動くお金も大きいことから弁護士に依頼するケースが多いようです。
また、別のデメリットとして挙げられるのは、弁護士にも当たり外れがあることです。弁護士の誠意が伝わってこないや望んでいた対応とは異なった場合、費用が無駄になってしまったように感じることでしょう。結果が出ないならなおさらです。
良い弁護士と出会う為に
良い弁護士と出会うためには、最初の相談時に以下の点をチェックして下さい。
・こちらの話を真剣に聞いてくれるか
・論点を正確に理解してくれるか
・法律に関する説明は分かりやすいか
・こちら側に不利になる点をきちんと教えてくれるか
・話の中で過去の経験が十分あるか?
といった点です。
コミュニケーションがスムーズにいくか?事情だけでなく気持ちも汲んでくれているかといった点もポイントになってくるでしょう。
依頼する弁護士をネットで探すなら、自宅から近い事務所にお願いすること評判や実績を確かめることも大切です。また弁護士事務所に行くとこちらが緊張してしまい、思うように話ができそうにないということでしたら、まずは電話で問い合わせを行うのも良いでしょう。
ただ弁護士の中には人の紹介がないと引き受けてくれないところや電話をしても希望の弁護士ではなく、受付の女性が対応し面談でないと話を聞いてくれない弁護士事務所もあるので、その点も考慮されれば良いと思います。
でも弁護士ってそもそもどこからどういう風に探せばいいの?という疑問が湧いて来られると思います。そんな場合はは日本弁護士連合会のホームページから弁護士を探すことが可能です。
こちらからお住まいの地域の弁護士を探すことができるので、そういう事態になった際は是非ご利用下さいませ。
日本弁護士連合会のホームページ
いずれにせよ弁護士といってオールマイティではありません。
男女問題に強い弁護士、金融に強い弁護士、法人等に精通した弁護士など様々なございますので離婚裁判に強い弁護士を見つけて下さい。
メリット
離婚調停を弁護士に依頼するメリットについて挙げてみたいと思います。
≪調停前の準備段階でのメリット≫
・申立てに必要な書類の準備や記入方法についてアドバイスがもらえる。
・離婚した方がいいか迷いがある場合、相談に乗ってもらえる。
・法律的な方面から見たアドバイスがもらえる。
≪調停中のメリット≫
・弁護士が調停に付き添ってくれるので、精神的負担が軽くなる。
・何を言えばよいか分からなくても、弁護士が代わって調停委員に伝えるべきことを伝えてくれる。
・話し合いが有利に運ぶように知識、知恵を貸しもらえる。
・調停委員にこちらの真剣さが伝わる。
・調停委員が相手の言い分を信じてしまい、こちらに不利な条件を提出してきた場合に、話に丸め込まれるず抵抗できるよう助けてもらえる。
≪調停後のメリット≫
・調停が裁判に移行する場合、すでに状況を知っている弁護士がいることは大変心強い。もし最初の調停の段階で弁護士をつけていなかった場合は裁判時に弁護士を探す必要があり、最初から弁護士がいれば探す時間を省くことができ、迅速に裁判に踏み切れる。
・調停での話し合いや取り決めを相手が履行しなかった場合、例えば養育費の支払いなどを滞らせている場合など専属の弁護士がいれば相談しやすい。
弁護士に依頼した方がいいケース
離婚の手続きは何かと精神的な疲労、苦労がつきものです。
精神的に疲労しているときに申立書だの戸籍謄本だの、書類を揃えるだけでも精一杯なのに、理性的な話し合いなんてできないと思えることもあるでしょう。
そういう時には弁護士を依頼すると有利です。精神的な負担を減らせるだけでなく、話し合いを有利に進めてくれるからです。
何を話していいか分らない場合や、出来事を正確に言えるかどうか自信がない場合、弁護士がいると安心です。また、相手側が口が達者である場合や、あることないことを言いそうな場合にも弁護士を立てておいた方がいいでしょう。
その他のケースとしては多額のお金が発生するケースです。離婚の際に「もういいや」と簡単に考えてしまったばかりに後々後悔する場合があります。
例えば養育費。毎月の金額は大きくなくても、それが年数を経過すると大きな金額になり、お子さんが大きくなれば、やはり教育費もアップし、その時にご自身がどういう状況になっているか分かりません。
何ら問題なくお子さんを育てられていればいいですが病気になったり再婚の意思があっても再婚できない、或いは再婚したがまた離婚…。
そういうケースもありますから確実に相手方からお金を取れるのであれば問題ないでしょうが、調停でどちらが有利になるか微妙なケースであったり、ご自身が不利という場合は弁護士に依頼をして有利に運ぶことです。
弁護士費用が仮に40万円必要であっても、それ以上のメリットがある、依頼をしなかったら40万円どころの損ではない。
そういう場合は費用対効果を考えて弁護士を活用しましょう。
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