女性にとって乳がんは誰しもが心配になるものだと思います。2013年の乳がん死亡数は女性約13,000人で、女性ではがん死亡全体の約9%を占めています。この乳がんを早期に発見させる為の検査、また乳がんになるリスクの高い女性のタイプなどをご紹介させていただきます。
マンモグラフィー検査
国が40歳以上の女性に推奨しているのが乳房X線撮影、一般にマンモグラフィー検査と言われるものです。このマンモグラフィー検査は、乳がんを診断する方法の一つで乳腺・乳房専用のレントゲン撮影の事を言います。このマンモグラフィー検査を行うことによって医師が触っても分からないような早期の小さな乳がん、しこりを作らない乳がんを見つけることができると言われています。
マンモグラフィー検査の費用や金額は?
このマンモグラフィー検査を受けるには、どのくらいの費用が必要なのか?
40歳未満の女性の場合は自治体の補助などがほとんどないため、全額自己負担になる可能性が高いです。また企業の健康保険組合からの受診は可能ですが、その場合も全額か一部自己負担になる可能性が高いと言えます。
40歳以上の女性の場合は自治体による検診が2年に1回実施されているので、こちらを利用することで無料~3,000円程度で検診を受けることができます。
放射線(レントゲン)撮影は危険なの?
マンモグラフィー撮影の放射線が人体へ及ぼす危険性は、ほとんどありません。一回の撮影で乳房が受ける放射線の量は東京―ニューヨーク間の飛行機の中で受ける宇宙からの自然の放射線量の約半分です。また、マンモグラフィーで受ける放射線の量(1〜3ミリグレイ)は妊婦のお腹の中の胎児が、(奇形などの)影響を受ける量(100ミリグレイ)に比べると、はるかに少ない量ですし乳房はお腹から離れているので、さらに影響は少なくなります。
マンモ検査だけでは見逃される高濃度乳房の女性
マンモグラフィー検査といっても万能ではありません。マンモグラフィー検査で問題なし、異常所見はありませんとの判定が出たからといって100%乳がんにはならないというわけではありません。
ではこのマンモグラフィー検査で見逃されてやすい女性はどういった方なのか?それは「高濃度乳房」の女性と言われています。この高濃度乳房であること自体は特に病気ではなく体質の一つ。また高濃度乳房だからガンリスクが高まるということではなくマンモグラフィー検査で見落とされる可能性があるということです。「高濃度乳房」とは簡潔に申し上げれば、乳腺濃度の高い女性のことで40歳以上の日本人女性の約4割が高濃度乳房と推定されています。※日本乳癌検診学会による
また、あくまで現段階においてマンモグラフィー検査の際に高濃度乳房であるかどうかを患者側に伝えたり、該当するか否かのチェック項目がある自治体とない自治体があるようですので、仮にマンモグラフィー検査で高濃度乳房かどうか何も伝えてくれない場合は、一度お医者様や病院に問い合わせを行われた方が良いかもしれません。
超音波検査
万が一、ご自身が高濃度乳房だと診断された場合は超音波検査を行うことで乳ガンの発見が早くなったり、見落としリスクも減るかもしれません。
この超音波検査は現段階で保険の適用外となり、自己負担額は数千円~1万円程度(検査機関によって異なります)
なぜ自治体での検診が行われないかというと、日本乳癌検診学会の笠原理事によると、まだ超音波検査はこの検査によって死亡率が減少するという科学的な根拠が確立されていないからということでマンモグラフィー検査はその証明がなされているので実施可能ということです。
ただ超音波検査による死亡率の減少効果の検証は引き続き行われているということで今後は自治体による検診が可能になるかもしれません。またマンモグラフィー検査で高濃度乳房との判定が出た方が皆、超音波検査を希望した場合の受け入れのキャパの問題などクリアすべき問題はたくさんあるようですが、乳ガン検診に行かれた際は「高濃度乳房」にご注意いただければと思います。
当コラム公開日:2017年6月5日