どういう仕事?
検事(検察官)の補佐役として容疑者の取り調べを行ったり証拠品の管理、罰金の徴収、前科の管理、文書の接受や発送、会計、広報活動、職員給与の計算などの仕事も行います。検察庁の職場には捜査公判部門・検務部門・事務局部門があり,各部門にはそれぞれ検察事務官が配置されています。
職務権限
検察事務官には主に次のような権限が認められています。
- 1.被疑者の取調べを行うこと(刑事訴訟法198条)
- 2.逮捕状による逮捕を行うこと(刑事訴訟法199条1項)
- 3.緊急逮捕とこれに伴う逮捕状の請求を行うこと(刑事訴訟法210条)
- 4.差押え・捜索・検証又は身体検査の令状請求とその執行を行うこと(刑事訴訟法218条1項等)
- 5.第三者の取調べと鑑定などの嘱託を行うこと(刑事訴訟法223条1項)
- 6.被疑者の鑑定留置請求及び鑑定処分許可請求を行うこと(刑事訴訟法224条1項等)
- 7.検察官の命により検視を行うこと(刑事訴訟法229条2項)
検察庁の組織
検察庁は法律により各裁判所に対応して置かれ,最高検察庁,高等検察庁,地方検察庁,区検察庁の4つの種類があります。
- 最高検察庁:東京(1庁)
- 高等検察庁:東京・大阪・名古屋・広島・福岡・仙台・札幌・高松(8庁),支部6庁
- 地方検察庁:各都道府県庁所在地と函館・旭川・釧路(50庁),支部203庁
- 区検察庁:全国の主要な市・町(438庁)
なるための学歴
検察事務官になる為には国家公務員採用一般職試験の大卒程度試験(試験の区分「行政」)又は高卒者試験(試験の区分「事務」)に合格することが必要です。検察事務官になるまでのルートは以下の画像の通りです。
合格率や採用人数
- 平成27年度の国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)
試験区分:行政
申込者数:30,007人(女性10,755人)
第1次試験合格者数:7,590人(女性2,453人)
最終合格者数:5,137人(女性1,875人)
- 平成27年度の国家公務員採用総合職試験(高卒者試験)
試験区分:事務
申込者数:11,266人(女性3,773人)
第1次試験合格者数:2,790人(女性962人)
最終合格者数:2,039人(女性757人)
副検事・検事への道
副検事になるには事務官として一定期間の経験を積む必要があり憲法・民法・刑法・刑事訴訟法等が出題される副検事選考試験に合格することが必要です。また副検事を3年以上務め、検察官特別考試に合格すれば 、検 事になることも可能です。
検察官のルートや年収や仕事内容は以下をご参照下さいませ。
- 検察官になるには?≪年収や仕事内容や転勤の有無≫
国家公務員の採用試験の中でも検察官になる…。国家試験は受験資格制限があり…。合格人数を絞り込むだけのような、必ずしも実力順には合格…
具体的な業務内容
検察事務官は、検察庁に勤務する国家公務員です。検事(検察官)の指揮の下、一緒に捜査を行ったり、容疑者の逮捕や取り調べを行う他に、検察庁における総務や会計などの事務業務まで、幅広い仕事内容を持っています。簡単に言うと、検事(検察官)のサポートを行う仕事です。検察事務官が検察庁で配属される職場の種類は、大きく分けると「捜査・公判部門」、「検務部門」、「事務局部門」の3つになります。
「捜査・公判部門」では、検察官と共に事件内容の調査や取り調べなど事件の捜査に当たる「立会事務」、被疑者の取調べを起訴・不起訴の処分を行う「捜査事務」、裁判に立会い、公判に求められる手続きを確保したり、迅速で妥当な科刑となるためにサポート業務を行う「公判事務」を行います。
「検務部門」では、受理手続きなど窓口となる「事件事務」、証拠品の受け入れ手続き、保管、処分などを行う「証拠品事務」、確定した懲役刑などの執行手続きを行う「執行業務」、罰金などの徴収金を徴収する「徴収事務」、有罪となった人の犯罪歴の調査や管理をコンピューターで処理する「犯歴事務」、記録の保管・管理・閲覧手続きなどを行う「記録事務」を行います。
「事務局部門」では、検察庁職員の人事・給料・福利厚生、書類の発送を行う「総務事務」、検察庁の歳入出の事務、庁舎の維持管理や必要機材の準備を行う「会計事務」を行っています。検察事務官の将来性としては、この先も犯罪がなくなることは考えにくく、仕事がなくなることはないでしょう。
また司法試験に合格しなくても、検察事務官から内部昇任制度で副検事や検事になる道があるため、検察事務官の人気はますます高まっています。正義感と責任感の強い人に向いている職種です。
転勤はある?
検察事務官は検事同様に全国転勤のお仕事です。どの程度のスパンで転勤するかは勤続年数等でも変わりますが若い年齢の時は約2~3年に一度です。
給料や年収
検察事務官の給料ですが採用時は一般の国家公務員と同じ行政職の俸給が支給されますが一定の勤務経験の後(一般職試験(大卒程度試験)合格者はおおむね1年,一般職試験(高卒者試験)合格者はおおむね5年),職務の特殊性が配慮され,公安職の俸給が支給されます。他には期末・勤勉手当(いわゆるボーナス)及び通勤手当・住居手当等の諸手当も支給されます。また宿直勤務や土日祝の出勤を行った場合には代休措置又は手当(宿直手当・休日給)の支給が得られます。
実際の金額ですが法律の改正等で変動しますので最新の情報は人事院のホームページでご確認下さいませ。
国家公務員給与関係
勤務時間や休日
休日ですが週休二日制となっており勤務時間は7時間45分です。休暇は年間20日の「年次休暇」のほか,夏季休暇・ボランティア休暇・結婚・出産・忌引などによる「特別休暇」や負傷,疾病による「病気休暇」があります。
昇進
捜査公判部門では主任捜査官・統括捜査官・首席捜査官などへ。検務部門では検務専門官・統括検務官・検務監理官へ。事務局部門では係長・課長・事務局長などへ昇進することになりますが捜査公判部門・検務部門・事務局部門間の異動も行われます。
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