どんな資格?
言語障害や聴覚障害者で苦しんでいる方、先天的、もしくは脳機能の障害などにより、話すことや聴くことに不自由がある人に対して、訓練・指導などを行い、言語・聴力能力を回復できるリハビリに合わせて思いを伝え合うことで生きる喜びを持てる支援を行う専門職の資格があります。その資格の名称は「言語聴覚士(ST)」と言います。活躍の場は、病院・診療所、社会福祉施設、保健所など。
受験資格
①大学に入学することができる者、またはそれに準する者で規定の機関で3年以上言語聴覚士として必要な知識技能を修得した者 ②大学、高専、文教研修施設もしくは養成所で2年(高専5年)以上修業し、規定機関で1年以上言語聴覚士として必要な知識 技能の修得者
引用:日本言語聴覚士協会
試験日
2月
試験地
北海道、東京都、愛知県、大阪府、広島県及び福岡県
受験料
35,700円
試験形式
筆記試験
試験内容
①基礎医学
②臨床医学
③臨床歯科医学
④音声・言語・聴覚医学
⑤心理学
⑥音声・言語学
⑦社会福祉・教育
最短
最短コースは、高校卒業後に国が指定した養成校(専門学校)へ進学するコースです。養成校を卒業すると国家試験の受験資格が付与されます。
養成校で学べるもの
養成校は専門学校や大学の事でコミュニケーション障害の病態や医学的処置といった医学的な知識、心理学や認知科学、言葉や音声の仕組みについての言語学や音声学、社会福祉や教育についての科目も学ぶことになります。高卒者対象の養成校カリキュラムは主に基礎分野、専門基礎分野、専門分野(実習を含む)で構成されています。
ちなみに養成校の対象となっている大学の学部、学科は言語聴覚療法学科、保健学部(医療技術学科 言語聴覚学専攻)、リハビリテーション学科などです。※全国の大学の学科が養成校の対象ではありません。
言語聴覚士の仕事内容
脳卒中後の言語障害(失語症、構音障害)や聴覚障害、言葉の発達の遅れ、声や発音の障害など言葉によるコミュニケーションの問題は多岐にわたりますが、言語聴覚士はこうした問題の本質や発現メカニズムを明らかにし、対処法を見出すために検査・評価を実施。必要に応じて訓練、指導、助言、その他の援助を行う専門職です。さらに医師や歯科医師の指示のもと、嚥下訓練や人工内耳の調整なども行います。
またリハビリテーション医療は、医師や看護師・介護福祉士など医療や福祉の専門家と連携し問題解決にあたります。他にどんな仕事があるかというと下記のような仕事です。
■ 伝音性難聴・感音性難聴
聞こえの障害(聴覚障害)のある方を相手に、検査や訓練、補聴器のフィッティングなどを行います。
■ 構音障害・吃音
「話すこと」の障害とは「構音障害」や「吃音」
声帯や舌、唇などを使って話す動作を「構音」といいます。この発声発音器官に障害がある構音障害や声に異常が発生する音声障害、スムーズに話すことが難しい吃音も、言語聴覚士による評価・訓練の対象となります。
■ 摂食・嚥下障害
食べることの障害とは、具体的には「摂食障害・嚥下障害」と言います。嚥下とは「えんげ」と呼び、飲み込んでしまうことです。摂食・嚥下障害に対して、原因の調査と咀嚼する為に必要な器官の訓練や、飲み込む反射向上の訓練を行います。
■ 子供の発達障害
知的発達の遅れ、対人関係の障害、脳の損傷などにより、言語機能の発達が遅れている子供に対して言葉やコミュニケーションに関心を持たせたり、語彙や文法、文字の習得を促すしたりサポートをします。
■ 失語症・記憶障害・認知症」
失語症は脳卒中や交通事故などによる脳外傷などが原因で起こる、成人の後天的な言語機能障害で伝えたい内容を単語や文で表現したり、単語や文の意味を理解することが困難になる障害です。また、失語症以外の「高次脳機能障害(記憶障害や認知症)」に対しても、言語聴覚士は患者さんの症状や発生を把握し、それに対応したプログラムを組み立てて訓練を行います。
合格率・難易度
言語聴覚士の合格率は以下となります。
第12回(平成22年)
受験者数… 2,498人
新卒合格率… 82.0%
既卒合格率… 34.5%
第13回(平成23年)
受験者数… 2,374人
新卒合格率… 86.5%
既卒合格率… 31.5%
第14回(平成24年)
受験者数… 2,263人
新卒合格率… 80.3%
既卒合格率… 17.0%
就職先・仕事
言語聴覚士の合格者の67.8%が医療機関で仕事をしています。具体的には総合病院や大学病院、リハビリテーション専門病院やリハビリテーションセンターといったところで働く言語聴覚士が多いようです。次いで多いのが老人保健施設や特別養護老人ホーム、福祉施設、養成校、学校教育など。治療や支援を必要としている患者さんの数に対してまだまだ不足しているのが現状です。言語聴覚士は女性が多い職種ですが、産前・産後休暇や育児休暇を活用したり、また託児所を併設している施設も多いことから、出産後も仕事を続けることが可能であり、復職率が高いのもこの職種の特徴です。
年収や給料の平均は?
言語聴覚士の平均年収や月給は実際の求人を掲載致します。なお事業所名などは表記しておりません。
■ 訪問看護リハビリステーション
勤務地:東京都内
労働時間:9:00~18:00
月給:285,000円
■ 訪問看護リハビリステーション
勤務地:大阪府
労働時間:9:00~18:00
月給:320,000円
■ 病院(回復期病棟)
勤務地:東京都内
労働時間:8:30~17:30
月給:基本給21万円(その他職務手当・皆勤手当あり)
■ 介護老人保健施設
勤務地:関東
労働時間:8:30~17:30
月給:225,000円(新卒)
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