病気にも様々な種類がありますが、うつ病の場合は何らかの検査を行って診断するというよりも、医師が患者さんに問診をすることで、うつ病などと診断されます。実際に私も初診で医師から様々な質問や症状について聞かれ、うつ病と診断されました。
うつ病の検査は進歩している
今まではうつ病は問診がほとんどを占めていましたが、最近では血液検査から鬱状態か否かの判断ができるようになりました。
その検査を開発したのが川村総合診療院の川村則行院長です。ではどのような検査から鬱状態なのかどうかを判定しているかというと、「人の脳内には快感や喜びの感情を作り出すアナンダミドという物質があり、それに関わるリン酸エタノールアミン(PEA)の血漿中の濃度を測定することでうつ病を判定する『PEA測定』というものが開発されました。
川村院長がおっしゃるには、うつ病にかかっている人はとそうでない健康な方とで明確にPEA濃度に差が表れ、PEA濃度「1.5μM」以上の方は健康、それ以下は、程度の差こそあれ、9割以上の精度で「うつ病」と診断できるとのことです。
またうつ病が改善していくと、このPEA濃度も上昇し、1.5〜3.0μMで安定し始めるようです。
ちなみにこのPEA濃度に基づく検査ですが、このコラムを執筆している現時点で、臨床研究段階ですので、病院やクリニックで受けられるわけではありません。また仮に受けられるようになってすぐは保険適用外となる可能性もあるので、費用が高額になる検査となる場合もあります。
PEA濃度検査の注意点
画期的なこのPEA濃度検査ですが、問題点はないのでしょうか?今後様々な取り組みによって解決されていくと思いますが、まず精度ですよね。この精度が高い水準にないと検査として世に浸透していきませんが、うつ病になる原因は心因性もあれば、外因性もあり、本当にすべてのうつ病に対して同じ精度が出るのかどうかも気になるところ。
またうつ病の場合は精神的な部分の影響が大きいので、本当にPEA濃度だけで、あなたはうつ病です。あなたはうつ病ではありませんと判定して良いものかも難しいところのように思います。仮にうつ病が回復をしてPEA濃度が安定してきたからといって、ではどのタイミングで復職を検討すべきかなど、その時点でのPEA濃度が安定していても、復職などで濃度が上下動したりもするでしょうから、この検査と鬱病診断、うつ病の回復をどう組み合わせて活用していくかも今後の課題かもしれません。
私の血液検査体験
私はうつ病の時に精神科に入院をしたのですが、その時に血液検査を実施していただきましたが特に体のどこかに異常な数値は見つかりませんでした。先ほどご紹介したPEA濃度検査はまだ実用化されていないので、現状の血液検査を受けても意味がないのか?というと私は必ずしも無意味とは思いません。
なぜなら他の病、他の疾患によってうつ病が引き起こされている場合があるからです。例えば女性の更年期障害の場合はホルモンバランスの崩れや自律神経系の機能低下なども影響されると言われており、そういった体調不良が通常の血液検査で何らかの異常を教えてくれる場合があるからです。
またうつ病はお薬の副作用や運動不足、過食などでよく太ると言われていますが、中性脂肪の割合だったり、コレステロール値だったり、肥満がどんどん進む他の病のリスクが高まります。
人は何となく分かっているものでも数値化されるとハッキリとどういった状態にあるのかを理解しますし、医師からも血液検査のそれぞれの項目について説明があると思います。やはりたまには、今自分の体のどこがどういう状態なのか?を知れることは貴重だと思いますので、病気の予防という観点からも血液検査は受けられた方が良いと思います。
皆様の一日でも早いご回復を願っております!