まるちょん言葉

文化や社会の背景は違っても、愛する人をじっと待ち続ける作品はたくさんありますよね。ですから、日本の観客の皆さんにもよく理解していただけるのではないでしょうか

映画監督という仕事は、ただお金を稼ぐためにあるものではなく、映画で意味のある物語を語ることが大事なのです。ですから、監督という仕事はもう少し求められる基準が高くあるべきだと思うのです

ここ数年、映画監督になることの敷居が低くなっており、資金を出してくれる人さえいれば、誰でも映画を撮れるのです。これは、私が監督になった頃と大きく異なります

わたし自身はまた俳優業をやりたいとか、演技をしたいとは思っていませんが、周りにいる監督たちからは「また、あなたの演技が見たい！」とよく言われます。だから、チャンスやタイミングさえ合えば……ということでしょうか

わたしは今後、両国（日本と中国）でああいう悲劇（日中戦争）が二度と起こってほしくないですし、起こらないとも思っています。日本人の習慣や文化はわたしたちと近いと思いますし、わたし自身も日本や日本の人々に大変好意を持っています。もちろん、高倉さんによって築かれた両国の絆も大切にしたいです

今、中国と日本は政治的に微妙な関係にありますが、高倉さんが亡くなったとき、ほとんどのメディアが追悼特集を組み、多くの著名人が追悼の意を述べました。その事実は日本の方にも知ってほしいです

（高倉健からもらった）その刀には高倉さんが磨かれたときの手の跡や息遣いが感じられて、それが消えてしまうかもしれないという思いから、いまだに箱は開けていません

高倉さん自ら（刀の）磨き方を教えてくださり、箱に入れ、ひもで結んでくださいました。それは今もわたしのデスクの後ろに飾っていますが、刀というより高倉さんに守られている気がします

日本では「刀は持ち主を守ってくれる」という意味合いがあるそうで、高倉さんは北京五輪の成功を祈って、わざわざ北京まで持ってきてくださったんです

高倉さんは、わたしにとって最も敬愛する人であり、若い頃はアイドル的存在でもありました

今回の『妻への家路』も、彼女（コン・リー）がまだ脚本も読んでおらず、出演の契約もしていないときに髪を白く染めてもらって、ちょっとしたスチール撮影をしたんです。ただカメラの前に立っただけで、脚本家らスタッフ全員が「この役は彼女しかいない！」と思ったんです

（コン・リーについて）感情が豊かな女性なので、演じるキャラクターの情感を引き出すことができるんです。だからこそ、誰もが認める中国映画界でトップの存在なのだと思います

（コン・リーについて）30年近くたっても変わらないところは、カメラの前に立っているときのたたずまいがとても魅力的だということ

（コン・リーについて）彼女が変わったところは、やはり成熟したところだと思います。私生活も含めていろんな経験をしたことが、女優としての成熟につながったと思います

特殊な時代だったからこそ、映画の題材になるような、ドラマチックな物語が生まれています。映画監督としての視点からいうと、そこにとても強く惹（ひ）き付けられるのです

文革の時代、わたしは16歳から26歳でした。たくさんの忘れ難い記憶があります。生涯消し去ることのできない思いともいえるでしょう

視覚的にも刺激的な大作を監督することは大変な一方、そのぶん能力を証明することができます。でも、映画というのは、決してそれだけじゃないということ。それで、もっと小さな物語を撮りたい。それが純愛物語の制作につながるんだと思います

きっと、バジェットの大きな商業的な映画を撮った後だと、どこかで「自分の心を鎮めて、感情のバランスを取りたい」といった欲求が生まれるんだと思います

高倉さんは常に人の事を考える、私が最も尊敬する人です

高倉さんは映画（『妻への家路』）を観終えた後、しばらく黙っていて、一言、「ついにイーモウは自分の一番よく知っている、一番得意な映画を撮ることができたね」とおっしゃったそうです。私は、それを聞いて大変慰められました。最後にお会いすることはできなかったけれど、『妻への家路』を観ていただけていたんだとほっとしました

私と高倉さんは『単騎、千里を走る』を撮っただけですが、高倉さんの影響、高倉さんが私に与えてくれた言葉、それは一生忘れることのないものです。いつも通訳を介して話しているんですが、それでも高倉さんのひととなりは私に感動を与えてくれました

中国では「高倉さんの死で一つの時代が終わった」という程影響を与えた日本人でした

撮影の現場では、役者とセリフや脚本に対して意見を出し合って、あらためてセリフや脚本を変える仕事習慣があります

彼女（コン・リー）が年寄りの特殊メイクをしたのは最後の2、3分間だけですから、メイクに頼らず、内なる演技でキャラクターを生かすのは優秀な役者の必要条件です。特殊メーキャップはひとつの手段に過ぎません

この映画（『妻への家路』）はどの時代に起こりえる話だと思うんです。一つの世代の、あるいは親と子の世代の、そして夫婦の愛情。それが核心なので、そのストーリーと登場人物の感情、人間そのもの、そこにスポットを当てて描くことで、いつの時代の、どの国でも観ることのできる作品として作り上げました

文化大革命という歴史的背景については、日本人の皆さんは全てを理解できていなくてもいいと思うんです。中国の若い人も同じです。それよりも、物語そのものに注目してもらうように工夫をしました

私は小説の結末・エピローグを映画の始まりにして、小説全体の歴史的背景を登場人物の細部とセリフに凝縮させました。いわゆる「一滴から太陽が見える」という中国式美学で、控えめで含蓄のある境地――つまり、最も難しい形の映画作りを選んだのです

今の中国では、この小説（『陸犯焉識』）の内容すべてを映画化することはできません。ルー・イエンシーが囚人になった経緯はまだまだデリケートな問題なので、映画にできないのです

（高倉健について）こんな素晴らしい俳優は中国にはいない

私たちもそれ（休憩中座らないこと）が習慣となり、私たちにとっても、とても心に残る体験となりました

（高倉健について）スタッフはみんな感動しました。そんなことを言う俳優は中国にはいません。それほど厳しく自分を律する俳優は中国にはいない。座るのは当たり前なんです。だから私はスタッフに命令しました。だったら我々も高倉さんを見習おうじゃないかと

花のように笑え

目の前の二股の道を、一生懸命選んで前に進む。人に勧められたとか、こっちのほうが美味しいものにありつけそうだとか、不純な動機でもいい。

どんなに小さな選択でも、それは自分が選んだこと。その先にどんな結果が待っていようと、それが自分の道