坂口安吾に関する名言集・格言集
坂口安吾
文学も、まア、そうだ。その人の限界は、だいたい二十代にそのキザシが確立されている。あとは技術的に完成するか、迷路を廻り路するか、そんな風にして、ふとっていくだけのことだ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
しかしながら小説の技術というものが、修練と同時に、これも亦発見を要するものでもある。私はこれを俗悪の発見と名づける。万人の俗な根性を惹きつける最低線で、軽業を演じることが必要なのである
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
小さな自己への怖れを知る人でなくては、物の正しい姿を認定することはできない
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
いくら、なんでも、とにかく、大らかな心を忘れたもうな。自分の生活の中から、ハッキリした自分の言葉を選び、自分の言葉で物を言うことを覚えたまえ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
精神的な孤独人 ー 実は非常に交友関係がひろく、世間的な生き方をしている人でも、いつでもそれを突き放し、それを去ることができるような、根に無関心が土台になっているうちは、精神病が起りッこない
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
私は、思うに、孤独感の最も激しいものは、意志力を失いつつある時に起こり、意力を失うことは抑制力を失うことでもあって、同時に最も好色になるのではないかと思った
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
最後のギリギリのところで、孤独感と好色が、ただ二つだけ残されて、めざましく併存するということは、人間の孤独感というものが、人間を嫌うことからこずに、人間を愛することから由来していることを語ってくれているように思う
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
最後のギリギリのところで、孤独感と好色が、ただ二つだけ残されて、めざましく併存するということは、人間の孤独感というものが、人間を嫌うことからこずに、人間を愛することから由来していることを語ってくれているように思う
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
人間を愛すな、といったって、そうはいかない。どの人間かも分らない。たぶん、そうではなくて、ただ人間というものを愛し、そこから離れることのできないのが人間なのではあるまいか
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
肉慾に絶望して、肉慾の実行を抛棄しても、肉慾から解放されることはできないものだ。それは遁世しても真の孤独をもとめ得ないのと同じことだ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
元来、傑作というものは、目がとどかない作品なのである。かゆいところへみんな手がとどくというのは、実生活には大そう便利であろうが、芸術の傑作にはならない
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
芸術というものは、人間が落付きはらって、かゆいところへマンベンなく手がとどくような快適な実生活に実用品として役立つものではなく、目のとどかない不具の半面に夢や慰めを与えてくれる魔術のオモチャにすぎないものだ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
つまり、本当に孤独になるということと、本当に性慾から解放されるということは、どこまで生きてもあり得ない
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
文学上の大傑作は「トマサンの一生」と同じように実に目のとどかない作品であるが、現世の人情に盲いて目がとどかないのではなくて、技法によって百千のかゆいところを黙殺しているだけの相違である
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
犯罪というものは、ともかく当人がギリギリに追いつめられてセッパつまった感があるから、救いもあるし、憎めないところもあるのが普通である
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
罪というものは、本人が悔恨に苦しむことによって、すでに救われている。
悪人の心は悲しいものである。ところがここに善人の犯罪というものがあって、自ら罪を感じない場合がある
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
自分と人は違うものだ。人間関係も環境も、まったく人によって別々なのが人間というものの在り方で、したがって人間関係を解く公式というものは永遠に在り得ない。めいめいが自分の一生を自分で独自に切り拓くべきものである
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
好きなものを好きだという、好きな女を好きだという、大義名分だの、不義は御法度だの、義理人情というニセの着物をぬぎさり、赤裸々な心になろう、この赤裸々な姿を突きとめ見つめることが先ず人間の復活の第一条件だ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
自分がこうだから、あなたもこうしろという思いあがった善良さは、まことに救いがない。善人の罪というものは、やりきれないものだ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
人は肉慾、慾情の露骨な暴露を厭う。然しながら、それが真実人によって愛せられるものであるなら、厭うべき理由はない
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
自分がこうだから、あなたもこうしろという思いあがった善良さは、まことに救いがない。善人の罪というものは、やりきれないものだ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
悪意はなくとも、無智ということ自体が罪だ。悪意がないだけ、救いがない
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
原子バクダンの発明以来、文明はその極限に来たかのような考え方が少からず行われているようであるが、原子バクダンなどというものは人を叩きつぶすだけの道具で、人を殺すぐらいカンタンなものはありやしない
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
粋とか通とかいわれることが、すでに大衆の中に生きていないことのハッキリした刻印なのだ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
遊ぶことの好きな女は、魅力があるにきまってる。多情淫奔ではいささか迷惑するけど、迷惑、不安、懊悩(おうのう)、大いに苦しめられても、それでも良妻よりはいい
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
大衆の中に生きている芸術は、常に時代的で、世俗的で、俗悪であり、粋や通という時代から取り残された半可通からはイヤがられる存在にきまったものだ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
一流たるべき人間は、はじめから、時代の中へとびこむにきまっており、ジャズや、ストリップや、そういう最も世俗的な、俗悪なものの中から育ってくるにきまったものだ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
現代の代表的な建築は、法隆寺や東照宮を摸し、幽玄や、風流や、粋をさぐったものからは生れてこないにきまっている。もっと時代的な俗悪なもの、実用的なものが、後日において、法隆寺と同じ位置に到達するものなのだ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
いかなる典雅な古典も、それが過去において真に生きていた時には、俗悪な実用品にすぎなかったのである
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
粋や通なるものから血の通わぬ名人芸は生れるかも知れないが、本当に民衆の血とともに育つ一流の芸術は生れない
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
われわれがそれを期待してよろしいのは、ジャズや、ストリップのような、時代的に最も俗悪なもののなかからだ。最も多くの志望者と切実な生活の中から現れてくるのだから
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
親というものは、子供は案外シッカリしているということを銘記する必要がある
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
それが生きている時は俗悪な実用品にすぎないものが、古典となる時に、芸術の名で生き残る
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
生きながら、反時代的な粋や通に愛され、名人の名をうけるものは、生きている幽霊にすぎないのである
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
敗戦後の日本に現れたニューフェースの筆頭は公認された日本共産党であったろう。しかし、これぐらい内容拙劣なニューフェースは他に例がなかった
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
子供を信頼せず、あんまり疑ると、そんなに疑るなら本当にやってしまえ、という気持が次第にたかまり、口実あらば実行せん構え十分になるのが普通である
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
誰しも夢の中で叫びたいような名前の六ツや七ツは持ち合わせているだろう。一ツしか持ち合わせませんといって威張る人がいたら、私はそんな人とつきあうことを御免蒙るだけである
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
子供の自発的なブレーキに理解がなく、徒にシツケの厳格を誇るのは手前勝手で、子供が反逆して事を起すに至っても、自分がお手伝いしていたことには気付かず、親の義務をつくしたことを確信しているのが多いらしい
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
純などというのはつまらぬ時間の差で、しかも甚しく誤差の起りやすい要素をふくみ、わが子に対してそんな判断で安心していると、長じて忽然と妖怪化して手に負えなくなるのである
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
崇高な殺人などを冷静に考える低能には救いがない
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
罪悪感を他に転嫁する口実が成りたてば、子供は潔癖好きのブレーキをすてて、好奇心の方へ一方的に走りたがる
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
そんなに疑るなら、疑られるようになってみせるわ、というようなインネンのつけ方は子供には最もありがちな通俗なものだ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
だいたい恋愛などというものは、偶然なもので、たまたま知り合ったがために恋し合うにすぎず、知らなければそれまで、又、あらゆる人間を知っての上での選択ではなく、少数の周囲の人からの選択であるから、絶対などというものとは違う。その心情の基盤はきわめて薄弱なものだ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
労働に対する報酬が生活の基礎なのだから、労働に対して常に適当に報われるという秩序が確立しなければ、他の秩序も礼儀も行われやしない
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
物資の秩序をハッキリさせることを知らない人は、所詮不明朗不健全で、本当の精神の価値を知らないのである
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
フロイドは病人の潜在意識をひきだし、それを病人に語らせたり指摘したりして開放することにより病気を治すことができるというが、私は信用しませんね
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
自分がこうだから、あなたもこうしろという思いあがった善良さは、まことに救いがない。善人の罪というものは、やりきれないものだ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
失敗せざる魂、苦悩せざる魂、そしてより良きものを求めざる魂に真実の魅力は少ない
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
私は、闘う、という言葉が許されてよい場合は、ただ一つしかないと信じている。それは、自由の確立、の場合である
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
恋なしに、人生は成りたたぬ。所詮人生がバカげたものなのだから、恋愛がバカげていても、恋愛のひけめになるところもない
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
原子バクダンを発見するのは、学問じゃないのです。子供の遊びです。これをコントロールし、適度に利用し、戦争などせず、平和な秩序を考え、そういう限度を発見するのが、学問なんです。自殺は、学問じゃないよ。子供の遊びです。はじめから、まず、限度を知っていることが、必要なのだ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
生と死を論ずる宗教だの哲学などに、正義も、真理もありはせぬ。あれは、オモチャだ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
恋愛は人間永遠の問題だ。人間ある限り、その人生の恐らく最も主要なるものが恋愛なのだろうと私は思う
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
恋愛は、言葉でもなければ、雰囲気でもない。ただ、すきだ、ということの一つなのだろう
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
生きることだけが、大事である、ということ。たったこれだけのことが、わかっていない。本当は、分かるとか、分からんという問題じゃない。生きるか、死ぬか、二つしか、ありやせぬ。おまけに死ぬ方は、ただなくなるだけで、何にもないだけのことじゃないか。生きてみせ、やりぬいてみせ、戦いぬいてみなければならぬ。いつでも、死ねる。そんな、つまらぬことはやるな。いつでも出来るんことなんか、やるもんじゃないよ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
人間が変わったのではない。人間は元来そういうものであり、変わったのは世相の上皮だけのことだ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
人はなんでも平和を愛せばいいと思うなら大間違い、平和、平静、平安、私は然し、そんなものは好きではない。不安、苦しみ、悲しみ、そういうものの方が私は好きだ
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
男女の関係に平和はない。人間関係には平和は少ない。平和をもとめるなら孤独をもとめるに限る
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
私は、勤倹精神だの困苦欠乏に耐える精神などというものが嫌いである
『マルチョン名言集・格言集』
坂口安吾
(恋愛とは)所詮幻影であり、永遠の恋などは嘘の骨頂だとわかっていても、それをするな、といい得ない性質のものである。それをしなければ人生自体がなくなるようなものなのだから。つまりは、人間は死ぬ、どうせ死ぬものなら早く死んでしまえということが成り立たないのと同じだ